先日、岐阜県白川村の白川郷に初めて行った。合掌造りの家を村の絆で保存・伝承していくのは素晴らしい。世界の文化遺産もいろいろ見てきたが、白川郷は持続可能なまちづくり、村づくりを体現している。白川郷の世界遺産とミシュラン・グリーン・ガイドを組み合わせた「北陸飛騨三ツ星街道の旅」は世界遺産とミシュランの三ツ星を絡ませたところが良い着眼点だ。(株式会社伊藤園 常務執行役員=笹谷秀光)
冬景色の白川郷

■「緑のミシュラン
雪景色の白川郷の合掌造り。多くの外国人観光客も雪景色の白川郷に感動していた。白川郷や高山とともにミシュラン三ツ星になっている金沢の兼六園も見て、金沢から白川郷にバスで向かった。

筆者が、1981年から2年間、人事院の長期在外研修としてフランスに滞在した時に、『ミシュランガイド』はたいへん重宝した。日本でも「赤のミシュラン」で、3つ星などの星付きレストランが数多く誕生したことが話題になっている。しかし、「緑のミシュラン」は意外と知られていない。

「緑のミシュラン」は、レストランではなく、訪れるべき観光地(建築物、自然等を含む)の旅行ガイドだ。「赤のミシュラン」と同様に、3つ星、2つ星、1つ星を付けている。

星の数はそれぞれ、「わざわざ旅行する価値がある(★★★)」「寄り道する価値がある(★★)」「興味深い(★)」を意味する。
■世界とつながる「クールジャパン」
フランスのアルザス地方と岐阜県のつながりは深い。2014年に「日本-アルザス友好150周年」事業の一環として、多くの経済協定が調印された。

その一つが、2014年11月に締結の白川村とアルザス地方のリクヴィール村の「友好関係推進宣言書」の調印である。これはアルザスと岐阜県との次のようなつながりの一環だ。

・岐阜県-オーラン県 経済・観光に関する協力覚書
・高山市-コルマール市 経済・観光協力協定書
・飛騨地酒ツーリズム協議会‐アルザスワイン街道 友好提携宣言
・一般財団法人バイオインダストリー協会とアルザスバイオバレー

このように、岐阜県、高山市、白川村という重層構造の関係構築である。

筆者にとってアルザス、特にコルマールは忘れられない。40年以上にもわたりミシュラン三ツ星に輝き続け、世界中の美食家たちを魅了してきた伝統あるレストラン、「オーベルジュ・ド・リル」(L’Auberge de L’ill)がある。アルザスのコルマールのそば、小さな村イルハーゼンに佇む旅籠屋(オーベルジュ)だ。筆者もフランス留学中の30年以上前に「わざわざ」行った。

合掌造りの飲食店で食べた「すったて鍋」

■地元の良いものを掘り起こし伝統とつなぐ「クールジャパン」
白川村では、最近では食にも力を入れている。郷土の「すったて」という、石臼ですりつぶした大豆に、味噌や醤油をベースにした出汁から作られた、「白川郷平瀬温泉飛騨牛すったて鍋」は、白川村南部地域の有志で結成された『白川郷鍋食い隊』が鍋料理にアレンジした逸品だ。

埼玉県和光市商工会が毎年開催している、「鍋」をテーマにした料理グランプリ2014年大会では初出場初優勝、2015年大会では準優勝という好成績を残している。食べてみたらとても美味しかった。

「クールジャパン」とは、日本のいいものを発信していくことだ。クールジャパンの要素は、「相手をおもんぱかる」「クリエイティブ」「課題解決力」といった点だ。白川郷はその歴史、たたずまい、そして人々のおもてなしからクールジャパンそのものだと感じることができた。
■インバウンドの変容-外国人の視点で魅力を発見
インバウンド来日外国人の需要の動きは体験型消費へのシフトが著しい。白川郷も外国人でいっぱいで、彼らは合掌造りの構造は2階が養蚕の部屋であることや囲炉裏を囲む冬の生活を「体感」していた。
合掌造りの2階の内部構造、元は養蚕の部屋

この傾向が今後ますます加速していくと思う。ICTの進化、特にSNSによる情報の拡散も大きな要因だ。

■「クールジャパン」「インバウンド」「レガシー」
キーワードは3つだ。「クールジャパン」「インバウンド」「レガシー」。インバウンドは訪日外国人が年間2400万人来ているが、これを東京五輪までに4000万人に増やすと政府が言っている。そして、五輪が終わっても、遺産になる仕組みを子孫に遺そうという「レガシー」だ。

この3点が現場では相互に絡んでいる。今後は、持続可能性の理解と複合思考・複合政策が求められる。

■持続可能性と食品産業、特別セミナーのご案内
その参考となる持続可能性と食品産業をテーマに、筆者がファシリテーターとして参加する特別セミナーをご紹介する。「FABEX 展示会20 周年・日本食糧新聞創刊75 周年 特別記念セミナー」(4 月12 日(水))である。

・基調講演1「プラチナ社会の実現と食への期待」三菱総合研究所 理事長・元東京大学総長 小宮山 宏氏
・基調講演2「何故、人は食べるのか~食の多面的な役割を考える~」 味の素株式会社 会長 伊藤 雅俊氏
・対 談「世界の中の日本として持続可能性をどうとらえるか」 小宮山 宏氏×伊藤 雅俊氏、
【ファシリテーター】株式会社伊藤園 常務執行役員 CSR 推進部長 笹谷 秀光

詳しくは
http://www.fabex.jp/news/te81sn0000001dum-att/FABEX2017_20th_seminar.pdf

笹谷秀光
伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長
東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年伊藤園入社、2010-2014年取締役。2014年7月より現職。幅広いテーマで講演等に登壇。著書『CSR新時代の競争戦略-ISO26000活用術』(日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代―ビジネス思考の日本創生・地方創生―』(ウィズワークス社・2015年)。

提携企業:オルタナ 2017年3月21日掲載 http://www.alterna.co.jp/20621

http://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2017/07/01_500-300x169.jpghttp://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2017/07/01_500-300x169-150x150.jpghatarakubaオルタナ提携記事進化する組織先日、岐阜県白川村の白川郷に初めて行った。合掌造りの家を村の絆で保存・伝承していくのは素晴らしい。世界の文化遺産もいろいろ見てきたが、白川郷は持続可能なまちづくり、村づくりを体現している。白川郷の世界遺産とミシュラン・グリーン・ガイドを組み合わせた「北陸飛騨三ツ星街道の旅」は世界遺産とミシュランの三ツ星を絡ませたところが良い着眼点だ。(株式会社伊藤園 常務執行役員=笹谷秀光) 冬景色の白川郷 ■「緑のミシュラン」 雪景色の白川郷の合掌造り。多くの外国人観光客も雪景色の白川郷に感動していた。白川郷や高山とともにミシュラン三ツ星になっている金沢の兼六園も見て、金沢から白川郷にバスで向かった。 筆者が、1981年から2年間、人事院の長期在外研修としてフランスに滞在した時に、『ミシュランガイド』はたいへん重宝した。日本でも「赤のミシュラン」で、3つ星などの星付きレストランが数多く誕生したことが話題になっている。しかし、「緑のミシュラン」は意外と知られていない。 「緑のミシュラン」は、レストランではなく、訪れるべき観光地(建築物、自然等を含む)の旅行ガイドだ。「赤のミシュラン」と同様に、3つ星、2つ星、1つ星を付けている。 星の数はそれぞれ、「わざわざ旅行する価値がある(★★★)」「寄り道する価値がある(★★)」「興味深い(★)」を意味する。 ■世界とつながる「クールジャパン」 フランスのアルザス地方と岐阜県のつながりは深い。2014年に「日本-アルザス友好150周年」事業の一環として、多くの経済協定が調印された。 その一つが、2014年11月に締結の白川村とアルザス地方のリクヴィール村の「友好関係推進宣言書」の調印である。これはアルザスと岐阜県との次のようなつながりの一環だ。 ・岐阜県-オーラン県 経済・観光に関する協力覚書 ・高山市-コルマール市 経済・観光協力協定書 ・飛騨地酒ツーリズム協議会‐アルザスワイン街道 友好提携宣言 ・一般財団法人バイオインダストリー協会とアルザスバイオバレー このように、岐阜県、高山市、白川村という重層構造の関係構築である。 筆者にとってアルザス、特にコルマールは忘れられない。40年以上にもわたりミシュラン三ツ星に輝き続け、世界中の美食家たちを魅了してきた伝統あるレストラン、「オーベルジュ・ド・リル」(L’Auberge de L’ill)がある。アルザスのコルマールのそば、小さな村イルハーゼンに佇む旅籠屋(オーベルジュ)だ。筆者もフランス留学中の30年以上前に「わざわざ」行った。 合掌造りの飲食店で食べた「すったて鍋」 ■地元の良いものを掘り起こし伝統とつなぐ「クールジャパン」 白川村では、最近では食にも力を入れている。郷土の「すったて」という、石臼ですりつぶした大豆に、味噌や醤油をベースにした出汁から作られた、「白川郷平瀬温泉飛騨牛すったて鍋」は、白川村南部地域の有志で結成された『白川郷鍋食い隊』が鍋料理にアレンジした逸品だ。 埼玉県和光市商工会が毎年開催している、「鍋」をテーマにした料理グランプリ2014年大会では初出場初優勝、2015年大会では準優勝という好成績を残している。食べてみたらとても美味しかった。 「クールジャパン」とは、日本のいいものを発信していくことだ。クールジャパンの要素は、「相手をおもんぱかる」「クリエイティブ」「課題解決力」といった点だ。白川郷はその歴史、たたずまい、そして人々のおもてなしからクールジャパンそのものだと感じることができた。 ■インバウンドの変容-外国人の視点で魅力を発見 インバウンド来日外国人の需要の動きは体験型消費へのシフトが著しい。白川郷も外国人でいっぱいで、彼らは合掌造りの構造は2階が養蚕の部屋であることや囲炉裏を囲む冬の生活を「体感」していた。 合掌造りの2階の内部構造、元は養蚕の部屋 この傾向が今後ますます加速していくと思う。ICTの進化、特にSNSによる情報の拡散も大きな要因だ。 ■「クールジャパン」「インバウンド」「レガシー」 キーワードは3つだ。「クールジャパン」「インバウンド」「レガシー」。インバウンドは訪日外国人が年間2400万人来ているが、これを東京五輪までに4000万人に増やすと政府が言っている。そして、五輪が終わっても、遺産になる仕組みを子孫に遺そうという「レガシー」だ。 この3点が現場では相互に絡んでいる。今後は、持続可能性の理解と複合思考・複合政策が求められる。 ■持続可能性と食品産業、特別セミナーのご案内 その参考となる持続可能性と食品産業をテーマに、筆者がファシリテーターとして参加する特別セミナーをご紹介する。「FABEX 展示会20 周年・日本食糧新聞創刊75 周年 特別記念セミナー」(4 月12 日(水))である。 ・基調講演1「プラチナ社会の実現と食への期待」三菱総合研究所 理事長・元東京大学総長 小宮山 宏氏 ・基調講演2「何故、人は食べるのか~食の多面的な役割を考える~」 味の素株式会社 会長 伊藤 雅俊氏 ・対 談「世界の中の日本として持続可能性をどうとらえるか」 小宮山 宏氏×伊藤 雅俊氏、 【ファシリテーター】株式会社伊藤園 常務執行役員 CSR 推進部長 笹谷 秀光 詳しくは http://www.fabex.jp/news/te81sn0000001dum-att/FABEX2017_20th_seminar.pdf 笹谷秀光 伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長 東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年伊藤園入社、2010-2014年取締役。2014年7月より現職。幅広いテーマで講演等に登壇。著書『CSR新時代の競争戦略-ISO26000活用術』(日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代―ビジネス思考の日本創生・地方創生―』(ウィズワークス社・2015年)。 提携企業:オルタナ 2017年3月21日掲載 http://www.alterna.co.jp/20621つながりの中で 自分らしい 新しいはたらくカタチ の実現を後押しする情報サイト