東京都港区立エコプラザ(港区浜松町、水野さえ子館長)では、一昨年から「みなとCSRダイアログ」、昨年から「みなとCSRアイデアソン」というイベントを展開しています。

JR浜松町駅すぐにある港区立エコプラザ。ここで2か月に1度、港区関係者を中心にアイデアソンが行われている

アイデアソンは2カ月に1回、東京・港区在勤・在住の方たちを中心に、企業のCSR関係者や地域のNGO/NPO関係者、市民の皆さんが集まり、一つのテーマに沿って議論を深めていきます。

昨日(1月19日)開かれたCSRアイデアソン第1部では、東京ガス・「食」情報センターの工藤裕子さんが「環境に配慮した食の取り組み」を、NGOのセカンドハーベスト・ジャパン(東京・台東、チャールズ・マクジルトンCEO)の芝田雄司さんが「フードバンク活動とフードセーフティネット」と題してレクチャーしました。

第2部では会場に集まった約30人の参加者が6つのテーブルに分かれて議論が始まりました。日本の食料廃棄物は1788万トン(うち、まだ食べられる食料は642万トン)。これを半分にするには、どうすれば良いか、がテーマです。

食料廃棄物の量を半分にするのは大胆すぎる目標かも知れませんが、敢えて大胆にすることでイノベーションが起こり、プロジェクトが動き出すこともあるのです。いわば「バックキャスティング」的な手法です。

参加者は企業のCSR担当者3分の1、そのほかのビジネスパーソンが3分の1、NPOや学生さんが3分の1という構成でした。とてもダイバーシティ(多様性)に優れた構成で、ふだんはあまり話す機会がない人たち同士が、真剣に意見を出し合いました。


「日本の食品ロスを半分にする」というテーマのもと、集まったアイデア(一部)

最後は、6つのグループが全体発表をして、さらに意見を出し合っていきます。「週1回は冷蔵庫を点検する」「そのために食品を冷蔵庫内POS管理する」「賞味期限が近付くと、本人のスマホにアラートが出るようにする」など、興味深いアイデアがたくさん出てきました。

筆者はこのイベントのファシリテーターをしていましたが、参加者たちから山のようにアイデアが出る様子を見て、これこそが「CSV」(共通価値の創造)の神髄だと感じました。

CSVといっても、担当者や社内調整によるアイデアや構想だけをベースにしているのであれば、それは真の「共通価値」とは言えません。このCSRアイデアソンのように、多彩な経歴を持つ人たちが1つのテーブルに集まり、アイデアの出し合いや議論をすることが大事ではないでしょうか。

このイベントに関わり始めて2年近く経ちますが、昨日のアイデアソンはこれまでになく充実していました。また、アイデアソンやCSVをうまく回すために最も重要なことは、「お題」「テーマ性」であり、その巧拙が全体の出来を左右することが経験的に分かりました。今後の展開が楽しみです。(オルタナ編集長 森 摂)

提携企業:オルタナ http://www.alterna.co.jp/17158 2016年1月20日掲載

https://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2017/05/4-1.jpghttps://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2017/05/4-1-150x150.jpghatarakubaオルタナ提携記事進化する組織東京都港区立エコプラザ(港区浜松町、水野さえ子館長)では、一昨年から「みなとCSRダイアログ」、昨年から「みなとCSRアイデアソン」というイベントを展開しています。 アイデアソンは2カ月に1回、東京・港区在勤・在住の方たちを中心に、企業のCSR関係者や地域のNGO/NPO関係者、市民の皆さんが集まり、一つのテーマに沿って議論を深めていきます。 昨日(1月19日)開かれたCSRアイデアソン第1部では、東京ガス・「食」情報センターの工藤裕子さんが「環境に配慮した食の取り組み」を、NGOのセカンドハーベスト・ジャパン(東京・台東、チャールズ・マクジルトンCEO)の芝田雄司さんが「フードバンク活動とフードセーフティネット」と題してレクチャーしました。 第2部では会場に集まった約30人の参加者が6つのテーブルに分かれて議論が始まりました。日本の食料廃棄物は1788万トン(うち、まだ食べられる食料は642万トン)。これを半分にするには、どうすれば良いか、がテーマです。 食料廃棄物の量を半分にするのは大胆すぎる目標かも知れませんが、敢えて大胆にすることでイノベーションが起こり、プロジェクトが動き出すこともあるのです。いわば「バックキャスティング」的な手法です。 参加者は企業のCSR担当者3分の1、そのほかのビジネスパーソンが3分の1、NPOや学生さんが3分の1という構成でした。とてもダイバーシティ(多様性)に優れた構成で、ふだんはあまり話す機会がない人たち同士が、真剣に意見を出し合いました。 「日本の食品ロスを半分にする」というテーマのもと、集まったアイデア(一部) 最後は、6つのグループが全体発表をして、さらに意見を出し合っていきます。「週1回は冷蔵庫を点検する」「そのために食品を冷蔵庫内POS管理する」「賞味期限が近付くと、本人のスマホにアラートが出るようにする」など、興味深いアイデアがたくさん出てきました。 筆者はこのイベントのファシリテーターをしていましたが、参加者たちから山のようにアイデアが出る様子を見て、これこそが「CSV」(共通価値の創造)の神髄だと感じました。 CSVといっても、担当者や社内調整によるアイデアや構想だけをベースにしているのであれば、それは真の「共通価値」とは言えません。このCSRアイデアソンのように、多彩な経歴を持つ人たちが1つのテーブルに集まり、アイデアの出し合いや議論をすることが大事ではないでしょうか。 このイベントに関わり始めて2年近く経ちますが、昨日のアイデアソンはこれまでになく充実していました。また、アイデアソンやCSVをうまく回すために最も重要なことは、「お題」「テーマ性」であり、その巧拙が全体の出来を左右することが経験的に分かりました。今後の展開が楽しみです。(オルタナ編集長 森 摂) 提携企業:オルタナ http://www.alterna.co.jp/17158 2016年1月20日掲載下町の農と食で地域をつなぐ