「はたらく一人ひとりが”語る”組織」
「社会と会社の隔たりがない組織」
これが、企業視察を終えて浮かび上がってきた言葉でした。

お話を聴かせていただいたのは、福岡県博多市にある「ココシスグループ」さん。
http://www.cocosys.co.jp/

ティールやホラクラシーといった概念が日本に入ってくる以前から、自律分散な組織のあり方を探求し実践し続けてきた会社です。
今回、グループ会社・さくらフォレストさんの心地よい職場の一室で、創業者である岡部会長が自ら組織の成り立ちについてお話しくださると共に、社員の皆さんも同席し、それぞれの言葉で語ってくださいました。

共通言語として見えてきたのは、「学ぶ(学習する)」という概念。
果たして人は管理しないと動かないのか。仕事とはイヤイヤ働くものなのか。
そういった”疑問”を確かめるべく、実験として試し、その結果やプロセスから学ぶ。
そのような思考・習慣が、会長はもちろん、一人ひとりに刻み込まれていることを強く感じました。
例えば、ココシスさんでは、給与を払うしくみを決めるプロジェクトがあり、幹部ではなく社員が主体で「どのようなしくみで給与額を決めるか」を話し合います。このプロジェクトメンバーは挙手制で「自分が関わりたい」と思う人が参画するしくみで、毎回変えていきます。
時には、「これくらいの額の範囲で支払う形になるだろう」という見込みを越えて払う形になり、経営的に”困る”事態になることもあったそう。普通の会社であれば、「どうしてこうなったんだ!」「なんでこうならないようにもっと議論しなかったんだ!」と失敗を追求するでしょう。
しかしココシスさんでは、そのような時に、どうするかを考えます。しかも”皆で”考え対話を重ねます。
これは、プロジェクトに限ったことではなく、職場の中では日常的に「対話」の場が生まれています。何か問題が生じた時や、物事の判断軸について疑問が生じた時など、つど立ち止って仕事の手を止めて、徹底的に対話を重ねます。
その習慣が根付いていることで、「まずはやってみて、その機会・プロセスから学ぶ」という学習する組織としての素地が培われていると感じました。

岡部会長曰く、「正体が分からぬものに恐怖心を抱く」のが、人間の特性。その恐怖心があるから、”変化を拒む”自己防衛の機能を強くしてしまうものです。
しかし、業績に関わるデータや人事指標などさまざまな経営データを見える化・共有化し、それらを踏まえて個々が考え対話する習慣が根付かせることで、変化を受け入れそこから学びを得る組織文化ができあがっているのだと言えます。

ココシスグループの象徴とも言える施策が、「感謝の朝礼」です。
毎朝、クレドの読み上げと共に、一人ひとりが「ありがとう」にまつわるエピソードを語るもので、一時間以上かけて行う日もあると言います。
”ありがとう”を語る時は誰しも自然と笑顔になり、表情も明るくなります。
とかく朝は、マインドが低い状態になりがちですが、”笑顔になる”ことと、”自身の気持ちを言葉で吐き出す”ことで、マインドを高め、良い状態で業務や仲間と向き合うことができ、チームとしてのパフォーマンスも上がるという訳です。

ココシスさんの組織のあり方の根底にあるのは、「人間は本来、利益を上げて貢献し感謝されたい生き物である」という人間そのものへの信頼感です。
しかし、そのような人間の本質がありながらも、組織という枠組みのもと、例えば産業革命以降で「労働者」という概念が生まれた故に、労働者としての権利意識、あるいはそれらを管理する側としての支配者意識が生まれ、時には被害者意識が生じる、という無意識の思考構造があります。
そして、そもそも「良い、悪い」「管理する、管理される」といった二分法の考え方に無意識に支配されている私たちが、その”概念・社会通念・思考構造”の存在に気づき、疑問を投げかけること。その思想が、ココシスグループさんにおける自律分散な組織運営を生み出しているのでした。

私たちは昨今、日本の中小企業における自律分散な組織のあり方を模索していますが、その過程でよく、「組織として管理せずとも成り立つ自律分散な組織は、高度に自律した人の集まりでないと成り立たないのでは?」という質問をいただくことがあります。
今回のココシスさんの事例に置き換えて考えると、「個は個々にマネジメントはしている」。つまり、個々のセルフマネジメント力が高いと言います。
しかしこれは、セルフマネジメントができる人を集めているわけではなく、個々のセルフマネジメントを引き出すために、入社後五年間の教育プログラムが体系化されていたり、社員合宿で”個々のミッションステートメントを描く場を設けたり、定期的な読書会を通して思考力を高めたり、チームごとに必要な研修を選び参加する権限が与えられていたりと、個々が「育ち続ける」しくみが確立しているからこそ、と言えます。

そしてそれは、人間本来がもつ可能性を信じ、自律を促すために対話しお互いに見守る、という思いやりの風土があってこそ。
ES(人間性尊重)を軸とした組織開発に裏付けされたココシスさんの組織運営のあり方に、大いに刺激をいただきました。

冒頭の言葉は、この企業視察が始まる前に、ココシスさんのビル前で待ち合わせをしていた時の光景から刻み込まれた印象でもあります。
休憩を終えて来たのかリラックスした様子で職場に戻る人、育児中で赤ちゃんを連れて来ている人、それをにぎやかに迎える同僚の人たち。皆が、訪れた私たちに対してにこやかに挨拶をしながら職場へ入って行きました。
そして、職場を見学させていただいている最中は、PCと向き合う狭間からにぎやかに聞こえてくる雑談。そして私たちを迎え入れる温かなムード。気づけば傍らでは、社員のお子さんが数名、宿題をしたり、寝転がったりしていました。
働く一人ひとりの価値観を重ね合わせながら、”職場””社会””家庭””地域”といったフィールドの境界線を感じさせることしなやかに働いている姿に、組織のあり方・働くかたちのあり方を深く思考するひとときでした。

ココシスグループさん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

https://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2019/11/soshiki-cocosys-1-320x180.pnghttps://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2019/11/soshiki-cocosys-1-320x180-150x150.pnghatarakuba経営と自然の調和ありがとう,ココシスグループ,地域,学ぶ,学習する,家庭,対話,感謝,社会,笑顔,職場「はたらく一人ひとりが”語る”組織」 「社会と会社の隔たりがない組織」 これが、企業視察を終えて浮かび上がってきた言葉でした。 お話を聴かせていただいたのは、福岡県博多市にある「ココシスグループ」さん。 http://www.cocosys.co.jp/ ティールやホラクラシーといった概念が日本に入ってくる以前から、自律分散な組織のあり方を探求し実践し続けてきた会社です。 今回、グループ会社・さくらフォレストさんの心地よい職場の一室で、創業者である岡部会長が自ら組織の成り立ちについてお話しくださると共に、社員の皆さんも同席し、それぞれの言葉で語ってくださいました。 共通言語として見えてきたのは、「学ぶ(学習する)」という概念。 果たして人は管理しないと動かないのか。仕事とはイヤイヤ働くものなのか。 そういった”疑問”を確かめるべく、実験として試し、その結果やプロセスから学ぶ。 そのような思考・習慣が、会長はもちろん、一人ひとりに刻み込まれていることを強く感じました。 例えば、ココシスさんでは、給与を払うしくみを決めるプロジェクトがあり、幹部ではなく社員が主体で「どのようなしくみで給与額を決めるか」を話し合います。このプロジェクトメンバーは挙手制で「自分が関わりたい」と思う人が参画するしくみで、毎回変えていきます。 時には、「これくらいの額の範囲で支払う形になるだろう」という見込みを越えて払う形になり、経営的に”困る”事態になることもあったそう。普通の会社であれば、「どうしてこうなったんだ!」「なんでこうならないようにもっと議論しなかったんだ!」と失敗を追求するでしょう。 しかしココシスさんでは、そのような時に、どうするかを考えます。しかも”皆で”考え対話を重ねます。 これは、プロジェクトに限ったことではなく、職場の中では日常的に「対話」の場が生まれています。何か問題が生じた時や、物事の判断軸について疑問が生じた時など、つど立ち止って仕事の手を止めて、徹底的に対話を重ねます。 その習慣が根付いていることで、「まずはやってみて、その機会・プロセスから学ぶ」という学習する組織としての素地が培われていると感じました。 岡部会長曰く、「正体が分からぬものに恐怖心を抱く」のが、人間の特性。その恐怖心があるから、”変化を拒む”自己防衛の機能を強くしてしまうものです。 しかし、業績に関わるデータや人事指標などさまざまな経営データを見える化・共有化し、それらを踏まえて個々が考え対話する習慣が根付かせることで、変化を受け入れそこから学びを得る組織文化ができあがっているのだと言えます。 ココシスグループの象徴とも言える施策が、「感謝の朝礼」です。 毎朝、クレドの読み上げと共に、一人ひとりが「ありがとう」にまつわるエピソードを語るもので、一時間以上かけて行う日もあると言います。 ”ありがとう”を語る時は誰しも自然と笑顔になり、表情も明るくなります。 とかく朝は、マインドが低い状態になりがちですが、”笑顔になる”ことと、”自身の気持ちを言葉で吐き出す”ことで、マインドを高め、良い状態で業務や仲間と向き合うことができ、チームとしてのパフォーマンスも上がるという訳です。 ココシスさんの組織のあり方の根底にあるのは、「人間は本来、利益を上げて貢献し感謝されたい生き物である」という人間そのものへの信頼感です。 しかし、そのような人間の本質がありながらも、組織という枠組みのもと、例えば産業革命以降で「労働者」という概念が生まれた故に、労働者としての権利意識、あるいはそれらを管理する側としての支配者意識が生まれ、時には被害者意識が生じる、という無意識の思考構造があります。 そして、そもそも「良い、悪い」「管理する、管理される」といった二分法の考え方に無意識に支配されている私たちが、その”概念・社会通念・思考構造”の存在に気づき、疑問を投げかけること。その思想が、ココシスグループさんにおける自律分散な組織運営を生み出しているのでした。 私たちは昨今、日本の中小企業における自律分散な組織のあり方を模索していますが、その過程でよく、「組織として管理せずとも成り立つ自律分散な組織は、高度に自律した人の集まりでないと成り立たないのでは?」という質問をいただくことがあります。 今回のココシスさんの事例に置き換えて考えると、「個は個々にマネジメントはしている」。つまり、個々のセルフマネジメント力が高いと言います。 しかしこれは、セルフマネジメントができる人を集めているわけではなく、個々のセルフマネジメントを引き出すために、入社後五年間の教育プログラムが体系化されていたり、社員合宿で”個々のミッションステートメントを描く場を設けたり、定期的な読書会を通して思考力を高めたり、チームごとに必要な研修を選び参加する権限が与えられていたりと、個々が「育ち続ける」しくみが確立しているからこそ、と言えます。 そしてそれは、人間本来がもつ可能性を信じ、自律を促すために対話しお互いに見守る、という思いやりの風土があってこそ。 ES(人間性尊重)を軸とした組織開発に裏付けされたココシスさんの組織運営のあり方に、大いに刺激をいただきました。 冒頭の言葉は、この企業視察が始まる前に、ココシスさんのビル前で待ち合わせをしていた時の光景から刻み込まれた印象でもあります。 休憩を終えて来たのかリラックスした様子で職場に戻る人、育児中で赤ちゃんを連れて来ている人、それをにぎやかに迎える同僚の人たち。皆が、訪れた私たちに対してにこやかに挨拶をしながら職場へ入って行きました。 そして、職場を見学させていただいている最中は、PCと向き合う狭間からにぎやかに聞こえてくる雑談。そして私たちを迎え入れる温かなムード。気づけば傍らでは、社員のお子さんが数名、宿題をしたり、寝転がったりしていました。 働く一人ひとりの価値観を重ね合わせながら、”職場””社会””家庭””地域”といったフィールドの境界線を感じさせることしなやかに働いている姿に、組織のあり方・働くかたちのあり方を深く思考するひとときでした。 ココシスグループさん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。「農」と「食」を通したソーシャルデザインの実現