東南アジア最後の秘境ラオスの未来は「農」が切り拓く①
東南アジア唯一の内陸国ラオス。
この国は、流れる時間の緩やかさと世界遺産都市ルアンパバーン、そして人柄の穏やかさが近年さまざまな人を魅了し、新たな観光スポットとして、先進国を中心に静かに注目されています。
ラオスと関わりはじめてから7年、物価の上昇やスマートフォンの普及など、急速な変化には驚きを隠せません。発展途上国ということで、変わっていくことばかりに着目しがちですが、変わらないこともあります。その一つが、ラオスの主産業が農業であるということ。実に、ラオス国民の8割が農に関わっているといいます。あえて「農業」ではなく「農」と表現したのは、北部や南部の農村では、貨幣経済よりも物々交換の文化がいまだに根強く、自給自足に近い地域も多く残っているからです。
近年、ラオスでは、南部のボロヴェン高原を中心に、近隣国へ盛んに農産物を輸出しています。特に、寒暖差を利用した有機栽培のキャベツとコーヒーは、隣国タイやベトナムの高所得者層から人気で、需要が絶えないそうです。
しかし、その他の地域では、交通網が未整備であることなどが原因で、輸出はおろか、都市部への流通も行き届かない状況が続いています。日本的に言えば、ほぼ全地域で「地産地消」がおこなわれています。地域内で採れた農作物や自宅で飼う豚・鶏・アヒルを地域の小さなマーケットで売って、わずかなお金に換える。これが、貨幣経済の中で生きていく限られた手段です。
ローカルの中で農作物や家畜、川で採った魚といった「地域資源」を循環する。まさに、日本が目指しているカタチのように思えますが、ローカルが閉ざされており、都市部と関わることが環境的に困難であるといえます。都市圏とローカルを行き来するような暮らし方、働き方が難しく、ヒトやモノ、情報が地方には届かないという状況です。
また、加工技術と設備が整っていないため、切る・焼く・煮る・炊くなど、一次加工に限定されてしまい、農作物に付加価値を付けることも難しい。食品関連産業が育っていないのも、ローカルが経済的に閉ざされている理由の一つです。たとえば、日本は第1次産業(農林漁業)、第2次産業(関連製造業)、第3次産業(流通・飲食業)を含めた食品関連産業の国内生産額は97兆6千億円です。そのうち、第2次産業と第3次産の国内生産額は81兆円で、これは、食品関連産業の国内生産額の8割を占めています。ラオスでも、この第2次産業、第3次産業の発達が、地域間のヒト・モノ・情報が行き交うカギになります。そして、貨幣経済への移行を余儀なくされたこの国のローカルで暮らす人々が未来を選択する道筋を照らすイノベーションにつながります。
その一方、首都ヴィエンチャンで出会ったあるイチゴ生産会社のラオス人経営者と会話をして、この国の農業の印象がガラッと変わりました。当社は、ある日本人の女性の指導のもと、周囲12kmにも及ぶ大規模な農地で、高所得者層向けに「あまおう」の生産管理をしています。これだけの規模になると、さぞ管理も大変だろうとその管理方法を聞いてみると、「ハイテクノロジー」という答えが返ってきました。なんと、この農場では、ドローンを低空飛行させ、その映像を見て育苗管理をしているといいます。
近年、ラオスはテクノロジーの導入を積極的に進めており、農村でもほとんどの人がスマートフォンを持ち、Facebookでコミュニケーションを取っています。つい先日には、政府主催のICT分野のコンテストが開催されたというニュースもありました。
成長著しく、新しいモノに抵抗感の無い若者も多いラオス。日本を含めその他先進国がたどってきた成長曲線とは違う、ユニークな変化を遂げています。たしかに、まだまだ改善の余地のあるラオスの農業関連業界。その成長を追っていくのも、アジア最後の秘境ラオスに関わる楽しみの一つです。
https://hatarakuba.com/%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%95x%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%ab/laos1/ライフ×ワークスタイル最新記事東南アジア唯一の内陸国ラオス。 この国は、流れる時間の緩やかさと世界遺産都市ルアンパバーン、そして人柄の穏やかさが近年さまざまな人を魅了し、新たな観光スポットとして、先進国を中心に静かに注目されています。 ラオスと関わりはじめてから7年、物価の上昇やスマートフォンの普及など、急速な変化には驚きを隠せません。発展途上国ということで、変わっていくことばかりに着目しがちですが、変わらないこともあります。その一つが、ラオスの主産業が農業であるということ。実に、ラオス国民の8割が農に関わっているといいます。あえて「農業」ではなく「農」と表現したのは、北部や南部の農村では、貨幣経済よりも物々交換の文化がいまだに根強く、自給自足に近い地域も多く残っているからです。 近年、ラオスでは、南部のボロヴェン高原を中心に、近隣国へ盛んに農産物を輸出しています。特に、寒暖差を利用した有機栽培のキャベツとコーヒーは、隣国タイやベトナムの高所得者層から人気で、需要が絶えないそうです。 しかし、その他の地域では、交通網が未整備であることなどが原因で、輸出はおろか、都市部への流通も行き届かない状況が続いています。日本的に言えば、ほぼ全地域で「地産地消」がおこなわれています。地域内で採れた農作物や自宅で飼う豚・鶏・アヒルを地域の小さなマーケットで売って、わずかなお金に換える。これが、貨幣経済の中で生きていく限られた手段です。 ローカルの中で農作物や家畜、川で採った魚といった「地域資源」を循環する。まさに、日本が目指しているカタチのように思えますが、ローカルが閉ざされており、都市部と関わることが環境的に困難であるといえます。都市圏とローカルを行き来するような暮らし方、働き方が難しく、ヒトやモノ、情報が地方には届かないという状況です。 また、加工技術と設備が整っていないため、切る・焼く・煮る・炊くなど、一次加工に限定されてしまい、農作物に付加価値を付けることも難しい。食品関連産業が育っていないのも、ローカルが経済的に閉ざされている理由の一つです。たとえば、日本は第1次産業(農林漁業)、第2次産業(関連製造業)、第3次産業(流通・飲食業)を含めた食品関連産業の国内生産額は97兆6千億円です。そのうち、第2次産業と第3次産の国内生産額は81兆円で、これは、食品関連産業の国内生産額の8割を占めています。ラオスでも、この第2次産業、第3次産業の発達が、地域間のヒト・モノ・情報が行き交うカギになります。そして、貨幣経済への移行を余儀なくされたこの国のローカルで暮らす人々が未来を選択する道筋を照らすイノベーションにつながります。 その一方、首都ヴィエンチャンで出会ったあるイチゴ生産会社のラオス人経営者と会話をして、この国の農業の印象がガラッと変わりました。当社は、ある日本人の女性の指導のもと、周囲12kmにも及ぶ大規模な農地で、高所得者層向けに「あまおう」の生産管理をしています。これだけの規模になると、さぞ管理も大変だろうとその管理方法を聞いてみると、「ハイテクノロジー」という答えが返ってきました。なんと、この農場では、ドローンを低空飛行させ、その映像を見て育苗管理をしているといいます。 近年、ラオスはテクノロジーの導入を積極的に進めており、農村でもほとんどの人がスマートフォンを持ち、Facebookでコミュニケーションを取っています。つい先日には、政府主催のICT分野のコンテストが開催されたというニュースもありました。 成長著しく、新しいモノに抵抗感の無い若者も多いラオス。日本を含めその他先進国がたどってきた成長曲線とは違う、ユニークな変化を遂げています。たしかに、まだまだ改善の余地のあるラオスの農業関連業界。その成長を追っていくのも、アジア最後の秘境ラオスに関わる楽しみの一つです。hatarakuba info@jinji-roumu.comAdministrator903シティファーム推進協議会
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