「自分の生き方・働き方」に真剣に向き合うようになった私たち

東京の生活に疲れて他の地域に移住したわけでも、リタイアして田舎暮らしを楽しむのでもありません。ビジネスの第一線でバリバリ活躍していた人たちが、自分のライフスタイルを実現するために移住し始めたのです。

2008年9月25日、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻しました。いわゆるリーマンショックです。そして、2011年には、東日本大震災が起こりました。

この二つの大事件をきっかけに、多くの人が「自分の生き方・働き方」に疑問を持つようになったのではないでしょうか。

本当の幸せってなんだろう?

物質的な豊かさから精神的な豊かさを求めて。

バブル時代は、良い車に乗って、いい家に住んで、良い服を着て、良い時計を身につけて、といったライフスタイルに憧れていました。簡単に言えば、物質主義ですね。

リーマンショックと東日本大震災という大きな出来事があったことで、物質主義というモノに固執していた時代から、もっと精神的な豊かさを求めるような時代になってきたと言えるでしょう。

「本当の幸せってなんだろう?」と、自分の人生を見つめ直す人が増えてたのです。

何足ものわらじを履く

彼らも本業だけでは生活しているだけではなさそうです。今回取材した人たちもそうですが、ひと言で言い表せない職種のひとたちばかりでした。一人で何足ものわらじを履いている人が多いのです。

たとえ一つの仕事だけでは食べていけるほどではなくても、収入源がいくつかあることで、ぜんたいとしては十分すぎる金額になる。月に2万円から3万円くらいにしかならない仕事でも10個していれば、20万円から30万円になるのです。もちろん、10万円の仕事を2個するのでもいいですし、それでも地域では十分に生活していけます。

そもそも、ひとつの仕事しかしないというスタイルは、工業化社会が始まってからのもので、それ以前は、みんな複数の仕事を当たり前にやっていましたよね。仕事をひとつに絞るというのは、絶対的な常識ではない。そこをしっかり認識するべきです。

「副業」は足し算、「複業」はかけ算

副業は、収入が多少増えるだけで、それ以上の広がりがありません。

複業の場合は、「この人、この仕事をしながらこんなこともやっているの?」という意外性と面白みがあり、そこからいろいろな可能性が生まれます。

つまり、かけ算になる活動です。

「昼間賢い活動をしている人が、実はバーテンダーの技術と積極術に長けていて、夜になるとバーで働いている」というのもかけ算になるでしょう。

極論を言えば、復業の中に、最初は収入ゼロの活動が混じっていてもいいと思います。ゼロからでも、発展していけばいいわけですから。

他の人にはない付加価値が生まれれば、必ず誰かから声がかかり、広がりが出てきます。

「東京の仕事は東京でしか出来ない」というのは間違い

これだけネットやモバイルのテクノロジーが進化しているのですから、実はやろうと思えば仕事はどこでもできるようになってきています。東日本大震災の際は、みな1週間ほど自宅待機を迫られましたが、会社は回っていました。知識労働をしているビジネスパーソンであれば、週の半分くらい会社に行かないというのも可能になってきたと思うのです。

せっかく自由な働き方やライフスタイルが選べる時代、常識に縛られてそれに気づかないのはもったいない

これまで、転職の際に会社を選ぶ基準は、ポジションやお金といった条件でした。しかし、これからは給料を闇雲に上げられる時代でもありません。働き方のオプションをとれるかどうかが重要になってくるし、そうしたライフスタイルをサポートできるような会社が人気を集めるでしょう。

たとえば、勤務時間中いつでもサーフィンに行っていいパタゴニアや、仕事時間の2割に自分の好きなことにあてられる「20%ルール」のあるグーグル、日本の会社でも、「サイコロ給」や「旅する支社」などユニークな制度のあるカヤックなど。

また、副業を認めている会社として、日産自動車、三菱自動車、富士通、東芝など。業務に支障がないことを条件に、キャノン、ブリヂストン、デンソー、花王なども、副業を容認しています。

「新しい幸せ」10の条件 ~新しい幸せの形は、お金、時間、場所などから自由になるということ~

1 仕事をたのしんでいる
2 いい仲間、いい家族がいる
3 経済的に安定している
4 精神的・肉体的に健康的である
5 刺激のある趣味やライフスタイルをもっている
6 時間を自分でコントロールできていると感じている
7 住む場所をしっかり選んでいる
8 いい考え方のクセを持っている
9 将来の見通しが立っている
10 ゴールに向かっている感覚を持つ

お金を払って見えるモノの価値観の上限が見えた若い世代。

10年以上前なら、頑張って働いて、いい車などの高級品を買えば良かったのだけど、それが必ずしも本当の自分の幸せにつながっていないことが分かった。それよりも、人と人のつながりや、コミュニティの結びつき、人の温かさを感じる距離感みたいなものを求めているように感じます。今尚ローカルに在る、東京では得られない価値観や情報、温度感を面白いと感じるのだろう。

 

作成者 

原田 真吾
社会保険労務士有資格者 / 903CityFarm推進協議会コア会員

 

出典

『脱東京』本田直之
『25歳からのひとりコングロマリットという働き方』おちまさと・本田直之
『LESS IS MORE』本田直之

https://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2017/01/w_waka01.jpghttps://hatarakuba.com/wp-content/uploads/2017/01/w_waka01-150x150.jpghatarakuba若者Vioce「自分の生き方・働き方」に真剣に向き合うようになった私たち 東京の生活に疲れて他の地域に移住したわけでも、リタイアして田舎暮らしを楽しむのでもありません。ビジネスの第一線でバリバリ活躍していた人たちが、自分のライフスタイルを実現するために移住し始めたのです。 2008年9月25日、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻しました。いわゆるリーマンショックです。そして、2011年には、東日本大震災が起こりました。 この二つの大事件をきっかけに、多くの人が「自分の生き方・働き方」に疑問を持つようになったのではないでしょうか。 本当の幸せってなんだろう? 物質的な豊かさから精神的な豊かさを求めて。 バブル時代は、良い車に乗って、いい家に住んで、良い服を着て、良い時計を身につけて、といったライフスタイルに憧れていました。簡単に言えば、物質主義ですね。 リーマンショックと東日本大震災という大きな出来事があったことで、物質主義というモノに固執していた時代から、もっと精神的な豊かさを求めるような時代になってきたと言えるでしょう。 「本当の幸せってなんだろう?」と、自分の人生を見つめ直す人が増えてたのです。 何足ものわらじを履く 彼らも本業だけでは生活しているだけではなさそうです。今回取材した人たちもそうですが、ひと言で言い表せない職種のひとたちばかりでした。一人で何足ものわらじを履いている人が多いのです。 たとえ一つの仕事だけでは食べていけるほどではなくても、収入源がいくつかあることで、ぜんたいとしては十分すぎる金額になる。月に2万円から3万円くらいにしかならない仕事でも10個していれば、20万円から30万円になるのです。もちろん、10万円の仕事を2個するのでもいいですし、それでも地域では十分に生活していけます。 そもそも、ひとつの仕事しかしないというスタイルは、工業化社会が始まってからのもので、それ以前は、みんな複数の仕事を当たり前にやっていましたよね。仕事をひとつに絞るというのは、絶対的な常識ではない。そこをしっかり認識するべきです。 「副業」は足し算、「複業」はかけ算 副業は、収入が多少増えるだけで、それ以上の広がりがありません。 複業の場合は、「この人、この仕事をしながらこんなこともやっているの?」という意外性と面白みがあり、そこからいろいろな可能性が生まれます。 つまり、かけ算になる活動です。 「昼間賢い活動をしている人が、実はバーテンダーの技術と積極術に長けていて、夜になるとバーで働いている」というのもかけ算になるでしょう。 極論を言えば、復業の中に、最初は収入ゼロの活動が混じっていてもいいと思います。ゼロからでも、発展していけばいいわけですから。 他の人にはない付加価値が生まれれば、必ず誰かから声がかかり、広がりが出てきます。 「東京の仕事は東京でしか出来ない」というのは間違い これだけネットやモバイルのテクノロジーが進化しているのですから、実はやろうと思えば仕事はどこでもできるようになってきています。東日本大震災の際は、みな1週間ほど自宅待機を迫られましたが、会社は回っていました。知識労働をしているビジネスパーソンであれば、週の半分くらい会社に行かないというのも可能になってきたと思うのです。 せっかく自由な働き方やライフスタイルが選べる時代、常識に縛られてそれに気づかないのはもったいない これまで、転職の際に会社を選ぶ基準は、ポジションやお金といった条件でした。しかし、これからは給料を闇雲に上げられる時代でもありません。働き方のオプションをとれるかどうかが重要になってくるし、そうしたライフスタイルをサポートできるような会社が人気を集めるでしょう。 たとえば、勤務時間中いつでもサーフィンに行っていいパタゴニアや、仕事時間の2割に自分の好きなことにあてられる「20%ルール」のあるグーグル、日本の会社でも、「サイコロ給」や「旅する支社」などユニークな制度のあるカヤックなど。 また、副業を認めている会社として、日産自動車、三菱自動車、富士通、東芝など。業務に支障がないことを条件に、キャノン、ブリヂストン、デンソー、花王なども、副業を容認しています。 「新しい幸せ」10の条件 ~新しい幸せの形は、お金、時間、場所などから自由になるということ~ 1 仕事をたのしんでいる 2 いい仲間、いい家族がいる 3 経済的に安定している 4 精神的・肉体的に健康的である 5 刺激のある趣味やライフスタイルをもっている 6 時間を自分でコントロールできていると感じている 7 住む場所をしっかり選んでいる 8 いい考え方のクセを持っている 9 将来の見通しが立っている 10 ゴールに向かっている感覚を持つ お金を払って見えるモノの価値観の上限が見えた若い世代。 10年以上前なら、頑張って働いて、いい車などの高級品を買えば良かったのだけど、それが必ずしも本当の自分の幸せにつながっていないことが分かった。それよりも、人と人のつながりや、コミュニティの結びつき、人の温かさを感じる距離感みたいなものを求めているように感じます。今尚ローカルに在る、東京では得られない価値観や情報、温度感を面白いと感じるのだろう。   作成者  原田 真吾 社会保険労務士有資格者 / 903CityFarm推進協議会コア会員   出典 『脱東京』本田直之 『25歳からのひとりコングロマリットという働き方』おちまさと・本田直之 『LESS IS MORE』本田直之下町の農と食で地域をつなぐ